オオサンショウウオ見に行くの記
「校長先生明日の夜大山椒魚見に行きませんか」自然学校の樫原さ
んに聞かれました。「えぇ〜〜??、いったい突然??」「実はこれこれ
しかじか」というわけで、兵庫県の自然保護団体の山椒魚専門家の調
査に同行させてもらえることになっちゃいました。
あっもっと詳しくですか?詳しくなくてもいい人のために小さな字にしちゃいますね。
自然学校の位置する兵庫県朝来郡山東町、オオサンショウウオがいるらしい、という
話なくはなかったのですが、実際に「見た」という人はなかったらしいのです。それが
23号台風のあと下流に打ち上げられていた1匹が発見され、有志が調べたら、何匹
も見つかったのです。そのうち何かの工事のアセス調査が行われ10個体見た、とい
うレポートがあるらしいなんて話があったりしたそうです。
その「有志」の中心藤本さんと、自然観察、保護なんかで仲間の増田さんが自然学
校の職員、自然学校でそんなことに熱心で増田さんとも仲良しの樫原さんに話がきた、
おじさんもご両人と仲良しのよしみで、もう何回りか若い国眼君とお誘いを受けた、そん
ないきさつです。
みんなは胸までの長靴、そんなものは「明日の晩」までに買ってくること
もできず、自然学校備え付けの長めの長靴で、参加することになりました。
調査側では、かなり足てまといは予想されるが、このことを広く理解しても
らう重要性にかんがみ受け入れてもらいました。
指導は兵庫県自然保護協会の大沼さんとその共同研究者さんたち、
そしてこちら側は藤原さんを中心に4〜5人と増田さん始め4人です。
調査隊は胸まで長靴でジャブジャブと入っていき、おじさんたち4人に、
もう一人山東町の方が足だけ長靴だったので「長靴隊」隊長としてつい
てくださいました。
増田さんより到来
長靴隊は川の水の浅そうなところを、時には川沿いの道に上がったり
しながらついていきます。かなり遅れてしまっても、なぜかそのうち追い
つくんです。そのなぜかは、誰か(大抵は大沼さん)がサンショウウオを
見つけてみんなが集まったときです。
オオサンショウウオを見つけると、えさ(生のいかリング)を棒の先に糸
でつけて、鼻先でひらひらさせて、巣穴からおびき出します。あるいはう
しろからつついて追い出したり、とにかく外に出たら、押したりつったり
して大きな網に入れます。網ですくう、というよりは入ってもらう感じです。
はかりで吊って重さをはかり(この個体は4.5キロ)、体長測定用の樋に
誘導します。鼻先に動くものがあると噛み付きます。とにかく噛み付くん
だそうです。気をつけていても何回かは噛まれるそうです。
手足をばたばたさせているとだんだん前に進み、前にある壁(今は頭の
10cmくらい前)にぶつかって止まります。そのときの尻尾の先の目盛りを
読みます。今回は大きいものは80cmを超すくらい、小さいもので50cm
くらいでした。
このあと体の各部の特徴を記録します。この場合は前肢の指4本のうち1本
が欠損していました。岩に挟まれたりして取れるのだそうです。もっと大きく、
たとえば半身ほとんど欠損しても生きているそうです。
全身まだら紋様のうち、尻尾左面の紋を記録して個体識別に使います。
紋は変化するのですが、10年20年程度では個体識別に不便となるほ
どではないそうです。あっそうだ、寿命は数十年以上、まだあまりよくわか
っていないそうです。
そんな「調査」が済むと、網に戻し、つかまえた場所に戻して水の中に放
します。オオサンショウウオちゃんは慌てず騒がず、ゆっくりと巣穴の方
向(?)に帰っていきます。
今回は5匹見つけ、そのうち3匹は藤本さんが一度出会っているさんちゃ
んだったそうです。ということは大雑把に考えて見つかるべきものは6割
程度は見つかっていることになるでしょう。
今回の調査でかなり大きなものしか見つからないことは、数十年前には
もう繁殖ができない状態になった、と判断することができる、という意見が
あるんだそうです。卵が孵って、何十日かたって幼生が何百匹一緒に川
に出るときを狙って、詳しい調査をするなどの方法が必要みたいです。
調査の後は近くにある「山東町アウトドアビレッジ」の研修室で酒盛り、
大いに盛り上がり、いろいろ質問して、最後は寝袋で寝て、結構冷え切
った体で朝帰りしました。
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